冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「いや、べつに。君のためにああ言ったわけじゃないから」


「え?」


でも私を庇うために彼女にあんな風に強く釘を刺してくれたんだよね?


それ以外に何かあるのかな?


「いや、こっちの話。またさっきみたいに普通学科の生徒に嫌がらせされたら俺に言えよ、なんとかするから」


「う、うん。ありがとう。私のことそんなに気遣ってくれて……優しいんだね」


感激のあまり顔が熱くなり表情筋がフニャフニャ。


「……優しくなんてないけどさ」


彼が私から気まずそうに目をそらせたような気がした。


そしてそっと、身体が離れていく。


「もう君はこっちには来ないほうがいいかもな。その制服じゃ目立つし君に何かあったら俺が困るから」


俺が困るって。
彼氏としてそこまで心配してくれてるってこと?
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