冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「ありがとう、あ、あの、じゃあ連絡先とか聞いてもいい?」


「ああ、いいよ」


彼はポケットからスマホを取り出した。


そして互いの連絡先を登録し合う。


「これでよしっと、あ、もうすぐ休み時間が終わるから今日の10分はこれで終わりな」


「え、うん、そっか、10分って約束だもんね」


「うん、わるい。
さっき見ての通りうちのクラスは休み時間でもみんな勉強してる。
俺もあの競走の中にいるから、1分1秒でも遅れを取りたくないんだ」


「そっか、そうだよね」


やっぱり私のクラスの雰囲気とは全然違うんだな。


そこで彼は頑張っているんだから、邪魔なんてしちゃいけない。


私がしょんぼりしたら彼は慰めるように優しく笑った。


「その代わりに、10分間お嬢様の下僕になって何でも言うとおりにするからさ」
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