冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「ああ。いいよ。
遠慮なんてしなくていいからなんでも言ってよ、お嬢様」


「お嬢様だなんて呼ばないで。できれば名前で呼んで欲しいな……」


「名前なんだっけ?ああ鷹月さんか」


「……」


そうじゃなくて、下の名前で呼んで欲しいんだけどな。
せっかく恋人同士になったんだから。


昨日、名乗ったはずなんだけど、覚えてないよね。


「花って呼んでくれていいよ」


「わかった、花って呼ぶよ」


よかった、彼は名前呼びをあっさり承諾してくれた。


「う、うん」


彼が私の名前を口にしただけで、カッと顔が熱くなった。


どうしよう、すっごく嬉しい。


「それとさ、その足大丈夫?セレブコースの校舎じゃ上履きなんて不要だもんな。靴下が汚れちゃったな」


彼は私の足元を心配そうに見ている。
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