冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
そうそう、上履きを持ってきてなかったから外靴を脱いで歩いてたんだ。


「ごめんな」彼はポツリとあやまる。


「え、どうして謝るの?こんなの平気だよ」


「……いや、なんていうか。いろいろ悪いなと思って」


どうしたんだろう、彼が急にしおらしくあやまってくるなんて思わなくてびっくりする。


もしかしたらだけど、彼って私のことを靴下が汚れただけでも泣き出しちゃうくらいの弱々しいお嬢様だと思っているんだろうか。


確かに、普通だったら嫌だけど、彼に会うためだったらこんなの全然平気なんだけどな。


すると、彼は自分の左腕の腕時計を見たのでハッとした。


もう休み時間が終わっちゃうんだ。


「俺の上履きつかうか?でもサイズ合わないか、花の足小さいもんな」


「大丈夫だよこのくらい」


「じゃあ、こうするか」
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