冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
だけど、いくらなんでもそれだけだと酷いような気がして。


俺の個人的な理由で会える時間が極端に少ない。


だけどこれはフェアじゃないよな。


そもそも彼女と付き合うことになったきっかけは河井先生に仲良くするように言われたからだった。


けど付き合うと決めたからには、こっちもそれなりに腹をくくらないといけない。


そう思ったのは多分、相手が花のような子だったから。


純心そうな澄んだ瞳で見つめられたら、自分自身が後ろめたくなるから。


気がついたら、なんでも言うことを聞いてやるなんて無謀なセリフを吐いていたんだよな。


言ってしまった後に、迂闊だったかなって焦ったけど。


だけど、心配するほどでもなかった。


彼女の要望なんて可愛いもので俺は今のところ、なんなくクリアできている。


しゃべりたいとか、質問に答えて欲しいとか写真を撮らせてとか、簡単なものばかり。

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