冷たい千景くんは１０分だけ私の言いなり。

まるで小学生でもこたえられる要望。


彼女は今日も小さいメモ帳みたいなものをポケットから取り出して取材の記者みたいに俺にいろいろ尋ねてくる。


これまでは身長、体重、誕生日、出身小中学校なんかを聞かれたりした。


今日はどんなことを聞いてくるんだろう、なるべく答えやすい質問ならいいんだが。


「えっとね、雨城くんの好きな色は？」


「青」


「好きな動物は？」


「特にない」


「好きな食べ物は？」


「唐揚げ」


「えっ。唐揚げ？」


彼女はその答えに興味を示してきた。


もしかしたらお嬢様っていうのは、唐揚げなんて食べないものなのか？


「鶏肉だよね？味付けはどんな感じがいいかな？」


「さあ、どうだろ。うちのは竜田揚げみたいな感じかな」


我が家は大家族なので、大量に揚げないといけないからたぶん大雑把な味付けだと思うけど。