冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「毒味係とかごめんだから」


俺はこんなそっけない断り方をした。


「えっ、えと……」


一瞬、ショックを受けたような顔をして言葉に詰まる彼女。


「作らなくていいからな」


だけど、俺は念押しするように冷たく告げた。


ちょっと強く言い過ぎたか、だけど油で大火傷されるよりマシだ。


別に、俺、彼女に嫌われても構わないし。


だけど、そのまま彼女はシュンとしたように俯いてしまった。


ここでフォローをいれるべきかどうか、悩んでいるうちに予定していた10分が過ぎていることに気がついた。


俺は立ち上がり、彼女を振り返る。


「じゃあ、これで10分たったから俺もう行くよ」


「あ、うん」


彼女は小さい声で返事をする。


「……」


彼女のしょんぼりした顔を見るとなんとも複雑な気分になる。
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