冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
私は嬉しくて舞い上がってるみたいな顔だけど、彼は平然としている。


「この写真、花は笑ってるけど……」


「う、うんまあ」


「いつも10分会いに行ってなにしてるの?」


「なにってお話してるだけだよ」


「えっ、ただ話すだけ?」


「うん、だってそれ以上のこと恥ずかしくてお願いできないよ」


「でも、それじゃあただの顔見知りみたいな感じじゃない?」


「えっ?」


「いいとこ友達ってところでしょ」


ちえりちゃんの言葉に一瞬ドキッとした。


それはまさしく図星だから。


実は私だってそう思ってた。


「だってー、ホントにただ会えるだけでも幸せなんだもん」


それは正直な気持ちで。彼を目の前にするともう気持ちがいっぱいいっぱいになっちゃうんだ。
< 85 / 351 >

この作品をシェア

pagetop