冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「おい千景、紹介しろよ。噂のお嬢様だろ、結構可愛いじゃん」


その時、救世主現るというか。雨城くんのお友達らしき男子が声をかけてきた。


彼はいかにも優等生っぽい七三分けのきっちりした髪型で黒い眼鏡をかけている。


だけど堅苦しい感じはしなくて、人懐っこそうな笑顔でにっこり微笑んでくれた。


よく見たらわりと整った顔をしているかも。


「君が、理事長の娘さんなんだ。ねえ、こんな不愛想な男のどこがいいの?退屈でしょ?」


「え、え?それは」


「やっぱり顔が好きなの?まあ顔だけなら俺もいけるかなあ」


お友達は雨城くんをじっと見てニヤニヤ笑う。いけるってなにがですか?


「確かに、千景は美人だよな」


「やめろ、気色悪い目で見るな」


「いいじゃん、照れるなって」


ふたりが冗談みたいなやり取りを交わしているので思わずぷっと吹き出してしまった。
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