冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
うっ、確かにいつの間に集まってきたのか、雨城くんの前後左右に彼のクラスメイトの女子達が彼を守るように取り囲んでいて。


みんな殺気立った様子でかなり怖いんだけど。


一触触発の緊張感が漂う。


なんなのこれー。誰か助けて―神様ーっ。


心の中でヘルプミーって叫んでいたその時、授業の始まりを告げるチャイムがようやく鳴り響いた。


それを合図のように彼女達はサッサと歩きだす。

だけど、すれ違い様にこんなことを次々にささやいてくる。


「なんなのよ、お嬢様ひっこめよ」


「たいしたことないじゃんブス」


「千景くんはあんたのじゃないんだからね」


ブスってひど……。


さんざんな文句を言われて正直ゲンナリ。


白目をむきそうになっていたら、次は雨城くんが憮然とした様子で近づいてきて。


ひえっ、なんか怒ってるみたい。

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