夕焼け雲は優しさを受けて輝く【完】
「良かった。帰り道だから、送ってくよ」

当然のように彼は言う。

でも……

「いえ、そんなの申し訳ないです。
 宿題、あるんですよね?」

急いで帰った方がいいに決まってる。

「そんなの、このまま帰ったら、無事帰れたかどうか気になって手につかないよ。だから、気にせず、送られて?」

なんだか、うまく丸め込まれたような気もするけど、私たちは一緒に帰ることになった。

彼も自転車通学で、私の隣の中学出身らしい。

彼の名前は、金坂 英雄(かねさか ひでお)
昼間部の2年生で、野球部らしい。

彼の自己紹介を受けて、私も尋ねられるままに自己紹介をする。

松嶋 恵理奈(まつしま えりな)、16歳の1年生。

「恵理奈ちゃんは、なんで夜間に通ってるの?」

どうしよう。言ったら引かれないかな。

心配しながらも、私には、うまく嘘をついたり、ごまかしたりすることはできなくて、ポツポツと事情を語る。
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