いつか咲う恋になれ
「戻りました〜」

生徒会室に戻ると私と小谷先輩は注目を浴びる。二人で中庭にいた事はみんな知ってるんだろうな。

少し、いやかなり気まずい……。

「コタは振られちゃったからみんな優しくしてあげてな」

「敦士先輩、何でみんなにバラすんですか!?」

宮原先輩の突然の報告に、小谷先輩は慌てて言った。

「どうせバレるんだからいいじゃんか。生徒会内での恋愛は禁止って言ってるのに勝手に告るからこうなるんだよ」

「恋愛禁止は真尋先輩だけでいいでしょ。それに……俺、紗倉ちゃんの事諦めないから。ねぇ紗倉ちゃん、気が変わったらいつでも付き合うからね」

小谷先輩は私の方を見てニカっと笑う。私は何を言っていいか分からず取り敢えず作り笑いをした。

そしてこの日の帰り道、駅のホームで一人で電車が来るのを待っていると、思いがけない人から声をかけられた。

「紗倉さん」

「あっ森野先輩、お疲れ様です。電車待ちですか?」

「うん。電車が来るまでの間、座って話しない?」

森野先輩は空いている椅子を指差して誘ってきた。私は『はい』と返事して二人でホームの椅子に並んで座る。

普段、森野先輩となかなか二人で話をする機会なんてないから、私は少し緊張していた。
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