いつか咲う恋になれ
「その好きな人に告白しないの?紗倉さんなら大抵の男はOKすると思うんだけど」

「そんな事ないです……それに告白は出来ません。振られるの分かってますし」

「あ〜彼女持ちとか?」

「いえ……違うんですけど」

森野先輩は歯切れの悪い私に不思議そうな表情をして、少し沈黙する。

「振られるって言っても100%じゃないでしょ?だったら前向きになった方がいいよ。俺もさ、振られる前提で告白して今の彼女と付き合ってるんだ」

そう言って森野先輩は携帯を取り出して彼女との2ショット写真を見せてくれた。でも、何処かで見た事あるような……。

!!?

あれ、この彼女……まさか……

「俺の彼女の有馬先生」

サラッと先生の名前を出したけど……えっ?となりながら、私は思わず森野先輩の携帯をガン見する。間違いなく有馬先生だ。

「元々、俺が中学の時に家庭教師をしていたのが当時大学生だった有馬先生なんだ。まぁありがちなんだけど俺が勝手に惚れちゃって、高校合格の後告白したんだ」

そんな前からの付き合いなんだ。森野先輩の表情が優しくなっている。

「そして有馬先生は大学卒業して念願の教師になったけど、赴任先がまさかうちの高校になるとは思わなかったよ。同じ学校の教師と生徒になるし、今後の付き合いをどうしようか悩んだ」

結局、悩んでも悩んでも答えは出ず、でも二人の気持ちも変わらないしそれなら付き合ったままでいいか……という結論になったらしい。
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