いつか咲う恋になれ
「あら〜穂花ちゃんじゃない。久しぶりね」

振り返るとそこには、真尋先輩の母親でケーキ屋の店長が笑顔で私の元へ近づいてきた。

「あっ店長さん。お久しぶりです」

私は丁寧に頭を下げて挨拶をする。

「あらやだ、店長じゃなくて橙子って呼んで。穂花ちゃんはここで何してるの?」

「なんか甘いものが食べたくなって買って帰ろうかなっと」

「なんだ。だったら家に来たら?ケーキあるし真尋も家にいるしね」

店長……いや橙子さんは誘ってくれたけど、真尋先輩の勉強の邪魔だけは出来ないです。

「いえいえ、勉強の邪魔しちゃ悪いですし」

私は丁重にお断りする。でも橙子さんは私の話を聞かずに携帯を持って何処かに電話をし始めた。

「真尋にも今から穂花ちゃんが遊びに行くからって伝えといたから。さっ行きましょ」

橙子さんはニッコリして歩き出す。橙子さんは両手に荷物を抱えていたので持つのを手伝った。今日は店で足りなくなったものの買い出しに来てたみたい。

「じゃあ私は店に戻るからゆっくりして行ってね。後でケーキ持っていくから」

そう言って橙子さんは店に戻り、私は一人残された。
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