いつか咲う恋になれ
「どうしよう」

真尋先輩、絶対迷惑に思うだろうな。かと言ってこのまま帰るわけにもいけないし。

よし、挨拶だけして帰ろう。

私は階段を上がり二階にある真尋先輩の家の前まで行く。そしてインターホンを押そうとするけど、やっぱり躊躇してしまう。

いやいや、女は度胸よ。

ピンポーン……

勇気を出してインターホンを押すと『はい』と言う真尋先輩の声が聞こえてきた。

「えっと、紗倉です」

緊張しながら真尋先輩の声に返事をすると、玄関がガチャっと開いた。そして真尋先輩の姿が……。

「いらっしゃい。中入って」

「いえお邪魔するの悪いし、挨拶だけして帰ろうかなと……」

「全然邪魔じゃないよ…穂花ちゃんに会えて嬉しいし」

私も会えて嬉しい……と思ったけど声に出して言えず、頬だけ赤く染まる。

「あっ、つい名前で呼んじゃってるし。ごめんね」

「名前がいいです……まだ名前で呼んで下さい」

恋愛ごっこは終わったけど、急によそよそしくなるのは嫌だ。私は力一杯真尋先輩にお願いする。

それに対して驚いたような表情をされたけど、真尋先輩はすぐに微笑んで私のお団子ヘアーをポンと触った。

それから結局部屋にお邪魔する事になり、私はソファーの前にストンと座る。
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