いつか咲う恋になれ
「ごめんね。うちの母親が強引に連れてきたんでしょ」

真尋先輩は冷たいレモンティーの入ったグラスを私の前に置き、そのまま私の前に座った。

「いえそんな事ないですよ。あっレモンティーありがとうございます」

目の前に置かれたレモンティーで乾いた喉を潤す。

「一人で出かけてたの?」

「はい。暇だったので街をふらふらとしてました」

「羨ましいな。俺も早く受験から解放されたいよ」

そうだ。私がいたら真尋先輩の勉強の邪魔になる。

「ご、ごめんなさい。私はもう帰りますので、勉強頑張って下さい」

私は慌てて鞄を持ち勢いよく立ち上がる。

すると真尋先輩も立ち上がって私の隣に移動してきた。

「取り敢えず座ろう」

そう言って私の肩を持ち力を入れてきたので、私はそのままソファーにストンと座らせられた。

「受験生って言っても、24時間勉強してる訳じゃないんだから」

真尋先輩は笑いながら私の隣に座る。

「でも真尋先輩、今……」

中間テストで成績を落とした事を言っていいのか分からず、中途半端な言い方になってしまった。

「あ〜成績落とした事?自分でもビックリしたよ。なんかさ、いつも通り勉強しても全然頭に入らないんだ。こんなに勉強に集中出来なくなったの初めてで……正直どうしていいか分からない」

「何かあったんですか?」

学校ではいつも通りの真尋先輩だけど、実は結構深刻な事になっていたんだ。

……真尋先輩の力になりたい。でもどうすれば?
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