いつか咲う恋になれ
「大盛況じゃん」

小谷先輩は森野先輩をからかうように笑いながら話しかける。

「俺はアイツと同じクラスになった事を今日ほど恨んだ事ない」

森野先輩の睨んだ視線が別の方向を向く。その視線の先には女子に囲まれた朝比奈先輩がいた。

なるほど、朝比奈先輩の提案なんだ。

「あっ、俺ちょっと斗真のところ行ってくる」

小谷先輩は席を立ち、朝比奈先輩のところへ行った。

「……さっき彼女が来て爆笑されたよ」

森野先輩はワックスでかき上げた髪の毛を触りながらボソッと呟く。

「その髪型似合ってますよ」

「この髪型にする事はもう二度とないけどね」

朝比奈先輩のところに行っていた小谷先輩が戻り少し話をした後、私達は教室を出た。

「あっ肝試し的なのやってるクラスがある。行ってみよう」

わざわざ広い体育館を貸し切ってやるなんて、本格的な感じがする。

『怖そうだから行くのやめときません?』と言おうとしたけど、小谷先輩は楽しみで仕方ないというような顔をしているので観念して体育館へ向かう。

この肝試しも人気みたいで女子を中心に列が出来ていた。3ー1……なるほど真尋先輩のクラスか。列が出来るって事は、中に真尋先輩がいるのかな。

ホラー系が苦手な私は内心バクバクさせながら順番を待つ。するとさっきからキャーという声が聞こえてくるのに気づいた。

「なんかずっと悲鳴みたいな声が聞こえてきませんか?」

私は怯えながら小谷先輩に話しかける。

「聞こえるね。すっげぇ怖いのかも」

と言いながら小谷先輩はワクワクした表情をしている。
< 116 / 163 >

この作品をシェア

pagetop