いつか咲う恋になれ
「なんか色々とすみません。ありがとうございました」

服は大丈夫かなと心配しながら、先輩のいるリビングへ戻る。先輩も制服から私服に着替えていた。テーブルの上には勉強道具が置いてあり、勉強しながら待っていたようだ。

私が戻ると、先輩は私の方をじぃっと見てきた。何か変なとこあるかな?思わず服の着こなしを見直す。

「髪を下ろしているところ初めて見た。可愛いね」

爽やかな王子様スマイルで可愛いとか言われたらめっちゃ照れるじゃないですか。言われ慣れないセリフにドキドキしながら、私は赤面しつつパッと頭に手を乗せた。

「今、飲み物持ってくるから座ってて」

先輩はスッと立ち上がりキッチンへ行く。その間に私は先輩が座っていたテーブルの向かい側に座った。

「どうぞ」

私の前に置かれたマグカップから甘い香りがしてきた。この香りはココアかな?温かいココアを一口飲むとなんだかホッとした気持ちになった。

「少しは落ち着いた?」

先輩は私の前に座りニコッとする。

「は、はい」

そういえばさっきまでの絶望感は少し解消された感じがする。

ここまで迷惑をかけてしまったから事情を話した方がいいのかな……と悩みながらチラッと先輩を見る。

「……無理して話する必要ないよ」

私の視線に気づいたのか、先輩はニッコリしてテーブル越しに私の頭にポンっと手を乗せた。
< 12 / 163 >

この作品をシェア

pagetop