いつか咲う恋になれ
「全く今年の二年はどうしようもねぇな。あっお茶と和菓子を三人分お願いね」

「はい、ありがとうございます」

私は裏に戻り先輩達から注文が入った事を伝える。すると女子達の目つきがキラーンとして、誰が真尋先輩にお茶と和菓子を提供するかジャンケン大会が始まった。

私はジャンケンに参加せず、盛り上がる女子達を横目に他の客を接客する。

真尋先輩達の座っている席の近くを通ると先輩達の会話が耳に入ってくる。

「そういや真尋の元カノ、新しい彼氏出来たみたいだぞ」

「椎野さん?っていうかイチはどこでそんな情報聞いたの?あっ彼女情報か。椎野さんとイチの彼女、一緒の学校だったね」

真尋先輩はあまり元カノの話に興味がないのか、壱井先輩をイチと呼びながらどうでも良さそうな顔をする。

「この間学校に来て真尋に復縁迫ってた子だろ。早いな、彼氏出来るの」

宮原先輩も呆れた感じでハァと息をついていた。

「真尋は何でヨリ戻さなかったんだ?今までだったらまた付き合ってたじゃん」

壱井先輩はニヤッとしながら真尋先輩の顔を覗き込む。

私は真尋先輩の元カノの話は聞きたくないのに、勝手に耳に入ってきちゃうし……でも気にはなるからやっぱり聞いてしまう。

「何でって……椎野さんと付き合う気がなかったからだよ」

「じゃあ他の女子なら付き合うのかよ?」

「さぁね」

真尋先輩は意味深な笑みで他の二人を見る。そして話が盛り上がったところで『ご馳走さま』と私に声をかけて教室を出て行った。

私の横を通り過ぎる時、真尋先輩は私にも意味深な笑みをしてきた。意味はないんだろうけど、私の頬は赤くなった。
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