いつか咲う恋になれ
「あれ、紗倉じゃん」

並びながらどのタピオカにしようか考えていると柳が声をかけてきた。手には黄色っぽいタピオカを持っている。

「偶然だね、柳も来てたんだ。何のタピオカにしたの?」

「マンゴーだよ」

「マンゴーって夏っぽいね」

「夏でも冬でも美味しければ何でもいいの」

私にタピオカを見せながらニッコリとしている。柳らしい。取り敢えず今思う事は…真尋先輩と一緒に並ばないで良かった。

「紗倉は一人?私クラスの友達と一緒なんだけど合流する?」

「あっいや大丈夫。後から……友達来るから」

嘘つく時って何でこんなに早口になるんだろう。私は言い終わった今もまだ心臓がバクバクしている。

「そうなんだ。じゃあまたね」

私も『またね』と柳に手を振る。そして真尋先輩のタピオカミルクティーと私のタピオカストロベリーミルクを買って先輩の元へ戻った。

しかし、真尋先輩は他校の女子に囲まれている。相変わらずの人気ぶりだ。

今は真尋先輩の近くに行かない方が良さそう。私は両手にタピオカを持ったままクルッと反対の方を向いた。

「どこ行くの?」

真尋先輩が私の元へ走ってきた。

「なんか私、邪魔かなって」

「邪魔なのは向こうの女子達だから」

そう言うと私からタピオカミルクティーを取り歩き始める。
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