いつか咲う恋になれ
そのままゲームコーナーの奥の方にあるプリクラ機の中に入り、二人で呼吸を整える。

「ど、どうしたんですか?」

とてもプリクラを撮りにきた雰囲気でもないし、慌ててここに隠れた理由を真尋先輩に聞いてみた。

「朝比奈とコタがいた。多分まだゲームコーナーのどこかにいるはず」

あの二人が?全然気づかなかった。確かに小谷先輩はともかく、朝比奈先輩に見つかると面倒な事になりそうだ。

しばらくプリクラ機の中から外の様子を伺う。するとすぐ近くに二人がやって来た。

「プリクラ撮る?」

「撮らねぇよ。何が悲しくてクリスマスイヴに斗真と二人でプリクラなんか…」

二人の会話が聞こえてくる。

「何だよコタ、まだクリスマスに紗倉ちゃん誘えなかった事気にしてるのか?」

「しょうがないだろ、紗倉ちゃん予定があるっぽい話してたし。確か美園ちゃんとスイーツ食べに行くとか」

「…と見せかけて実は男とデートだったりして」

「それはない。だってこの後のサッカー部クリパに山下も参加するって言ってたからな。紗倉ちゃんがデートするなら山下以外いないだろ」

「つまんねぇの」

二人の会話が聞こえなくなった。どうやら違うコーナーに行ったみたいだ。私は安心してホッと一息つく。
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