いつか咲う恋になれ
「頂きます」

一口飲むと、口の中に幸せな甘さが広がり思わず笑顔が溢れた。

「そんなに美味しいんだ?俺も飲んでみていい?」

私は『どうぞ』と言ってチョコレート・ラテの入ったカップを真尋先輩の前に移動させる。

そして美味しいでしょ?というような表情をしながら真尋先輩が飲むのを見ていた。

「うん、甘いけど飲みやすいね。じゃあコレ、穂花ちゃんからのバレンタインチョコと思ってもう一口貰おう。何か俺だけチョコ貰えなかったみたいだし?」

真尋先輩は意地悪な笑みを浮かべながらもう一口チョコレート・ラテを飲む。

「だって、真尋先輩は絶対チョコレート受け取らないって宮原先輩が……」

あの話は違ったの?私は焦りながら言い訳をする。

「受け取らないのは本当だけど、穂花ちゃんからのチョコレートは貰うに決まってるじゃん」

『ご馳走さま』と言いながら、私にチョコレート・ラテの入ったカップを戻してきた。

チョコレートあげたかったです……なんて今更言っても後の祭りだし、私は一気にテンションが下がる。

そんな私を見て『冗談だよ』と笑うけど、私のチョコレートは貰うって言った事か、チョコレート・ラテをバレンタインチョコ代わりにするって言った事か……どれが冗談なのか分からずモヤモヤだけが残った。
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