いつか咲う恋になれ
「ふぅ」

家に帰り着くと、無気力のままベッドにダイブした。今日の出来事が夢だったらいいのに……そう思いながらため息をつく。

そして制服のポケットに入れている携帯を手に取りジッと眺める。山下君や柳から連絡きてるんだろうな。

正直携帯を見るのが怖いけど、一呼吸して心を落ち着かせて携帯に目を通した。

予想通り、たくさんの着信やメッセージが届いている。山下君や柳の他に、多分二人から事情を聞いた安住ちゃんや柴っちからもメッセージが届いていた。

どうしよう。なんて返信していいか分からないよ。まだ上手く気持ちの整理がつかず、この日私は既読スルーしたままずっと一人で泣いた。

次の日、香月先輩との約束の為いつもより早く家を出る。昨日はあんなに雨が降っていたのに、今日は清々しいほど青空が広がっていて気持ちの良い朝だ。思わず空を見上げる。

いつもは電車内も学生達が多いけど、まだ朝早いせいか座席も空いていた。

それにしても、朝から弓道場って何するのだろう。テスト期間中で朝練もないはず……

学校に着くと、直接体育館横にある弓道場へ向かう。弓道場へ着くまでに誰一人ともすれ違わなかった。
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