いつか咲う恋になれ
放課後、私と優莉が廊下を歩きながら生徒会室に向かっていると、待ち伏せしていたのか私達の前に宮原先輩が廊下の壁に背を向けて立っていた。

そして私達に気づいた宮原先輩がこっちに向かってきて優莉に声をかける。

「話あるんだけど」

「……何でしょうか?」

優莉は宮原先輩と目を合わせる事なく、静かなトーンで話す。

「えっと……私、先に生徒会室に行くね」

二人の事は気にはなるけど、私は部外者だしこの場を去るのが正解だろう。優莉に一言添えてそそくさとひとり生徒会室に向かった。

私が生徒会室に着いてから少しして優莉も生徒会室にやってきた。

「早かったね」

「別に……大した話なんてしてないから」

「そ、そっか」

優莉は一見いつも通りに見えて、やっぱりどこか落ち込んでる気がする。

私から話を振ってみようかな……そう思って優莉に声をかけようとした時、私の携帯が鳴り始めた。

「あっごめん。ちょっと携帯出てくる」

優莉にそう言って生徒会室を出て携帯に出る。

「もしもし」

「急に悪いね。今、生徒会でしょ?」

「えっと、生徒会室を出て携帯に出ました。それでどうしたんですか?……宮原先輩」

突然かかってきた宮原先輩からの電話にあたふたしながら少しずつ生徒会室を離れる。優莉に聞かれたらまずいかなと思ったからだ。

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