いつか咲う恋になれ
「私の家って茶道をやっているのよ。代々引き継がれてて、もちろん私も家業を継ぐつもり。だから高校を卒業したら一緒に家業を継いでくれる相手を探すの。親ともそう約束してるし、私もそれでいいと思っている。だから別れが決まっているのに……宮原先輩とは付き合えないわ」

優莉は淡々と話を進めるけど、話をするその表情はどこか悲しげだ。

「でもさ、事情を話したら宮原先輩なら一緒に家業を継いでやる……とか言いそうじゃない?」

「言いそうだからキッパリ告白を断ったのよ。高校生の付き合いで将来の事を背負わせるなんて重い付き合い嫌でしょ?」

優莉はフゥっと軽くため息をついて話を続ける。

「それに……宮原先輩には教師になるっていう夢があるのよ。だから大学も教育学部を受験しているはず。だから尚更、家の事情で付き合えません、なんて言えないわ」

「でも……」

両想いなのに付き合えないなんて、何て悲しい事だろう。優莉の本音は聞けたけど、告白を断った本当の理由なんて宮原先輩に話せないよ。

どうしよう……。

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