いつか咲う恋になれ
「昨日、帰ってから泣いたでしょ?目赤くなってる」

香月先輩は自分の目に人差し指を当て笑みを浮かべる。

「えっ嘘」

私はパッと慌てて顔に手を当てる。その様子を見た香月先輩はクスクス笑い始めた。

「嘘だよ。その慌てようはやっぱり泣いたんだ?」

「泣き……ました。でもスポーツってするのも見るのもいいですね。何かスッキリした気がします」

香月先輩に笑顔を見せて話を続ける。

「今日、彼氏と話出来そうです」

「頑張って」

そう言って隣に座っている香月先輩は私の頭にポンと手を置いた。

「このお団子、何か触りたくなるよね」

私のお団子ヘアーを触りながら微笑む。こんなところ他の女子生徒に見られたら大変な事になるだろうな。

「香月先輩、今日はありがとうございました」

「俺、何もしてないよ。あっ、彼氏君と話をしてその結果また泣きそうになったら夜連絡して。話くらいは聞けるから」

香月先輩は立ち上がって、座っている私に手を差し出す。確かに生徒会で連絡用のグループ作ってるから連絡先は分かるけど…そこまで甘えていいのかな。

差し出された香月先輩の手を掴み、私も立ち上がる。掴んだ先輩の手は大きくて、当たり前だけど男子の手だ。

この瞬間だけ自分とは違う先輩の手を意識してしまい、少し頬が赤くなった。
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