いつか咲う恋になれ
卒業式から数日が経ち、真尋先輩と宮原先輩から無事に大学合格したと報告があった。

これで真尋先輩は関西の大学に行っちゃうんだ。もちろん寂しさが大きいけど、真尋先輩が選んだ道を私は応援しよう。

自分の小指を見ながら真尋先輩との約束を思い出す。

ちゃんと真尋先輩からの告白……待ってますからね。

授業中、窓の外を見ながら真尋先輩を思い浮かべる。

そしてついに真尋先輩が関西に行く日になった。学校も春休みに入ったので私は駅まで見送りに行く。

「真尋先輩」

「来てくれたんだ」

私が声をかけると、真尋先輩はいつもと変わらない微笑みをした。

そして実感する。しばらくこの真尋先輩の笑顔も見れなくなるんだ……そう思うと私の目からは涙が溢れ出した。

「何でいきなり泣いちゃうかな」

真尋先輩はそう言って、片腕でグイッと私を抱き寄せる。

「ご、ごめんなさい。泣くつもりはなかったんですけど」

謝るものの溢れる涙は止まらず、真尋先輩の胸の中で泣き続けた。

「離れるのが寂しい?」

「はい」

私が返事すると何故か真尋先輩はクスッと笑う。

「悲しんでる穂花ちゃんには悪いけど、離れるのを寂しがっている姿がなんか可愛いと思っちゃった」

「真尋先輩、たまに意地悪な部分が出てきますよね」

真尋先輩は『そうかな?』と言いながら、やっぱり意地悪な笑みを浮かべた。

そして話をするうちに私の感情もだいぶ落ち着いてきたので、真尋先輩の胸から離れる。
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