いつか咲う恋になれ
屋上を出て一人になった私はハァッと大きなため息をついた。

まさか友達と距離を置く事になるなんて、何も知らなかった数日前の私には衝撃的な展開だな。

「山下君とも話しなきゃ」

憂鬱(ゆううつ)になりながら午後のテストを受け、あっという間に放課後になった。

帰る準備をして教室を出る。すると教室前の廊下に山下君が立っていた。突然過ぎて思わず『あっ』と小さく声が漏れる。

山下君は私を見つけると無言で近づいてきた。私はパッと目を逸らす。一度鞄をギュッと握りしめて再び笑顔で山下君を見た。

「帰ろうか」

私達は話が弾まないまま歩く。話をどう切り出していいか分からず一人悩んでいた。

「紗倉、悪かった」

山下君は急に立ち止まって、申し訳なさそうな表情で頭を下げてきた。

「あのね、私考えたんだけど…」

謝る山下君を見て少し迷ったけど、ちゃんと顔を見て今の自分の気持ちを伝えた。

そして夜、私は明日に備えて試験勉強を始め…ようと思ったけど、全然勉強に集中出来ない。

シャーペンを机に置き、ガバッと机の上でうつ伏せになる。その状態でしばらくボーッとしていると、机に置いてある携帯が目に入る。

解決しましたって、香月先輩に報告した方がいいのかな。

取り敢えず携帯を手に取り、どうしようか悩む。
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