いつか咲う恋になれ
そして放課後、今日は香月先輩の家に行く約束だ。

一度家に帰ってからだと遅くなっちゃうし、直接先輩の家に行こう。でも一応先輩に確認しとこうかな。

携帯を取り出し、香月先輩に『直接家にお邪魔しても良いですか?』とメッセージを送る。

するとすぐに『いいよ』と返信が来た。

香月先輩より早く家に着くわけにはいかないので、少し図書室で時間を潰してから学校を出る。

そしていつもと違う慣れない道を一人ソワソワしながら歩いた。

この道で合ってるよね、と見慣れない風景に不安になりながら歩いていると、可愛いケーキ屋さんを見つけた。

確かあのケーキ屋さんの二階だったはず。何となく知っている人が居ないか左右を確認して、階段を上がり香月先輩の家に到着した。

ピンポーン

緊張して震える指で呼び鈴を押す。少しして私服に着替えた香月先輩が出てきた。

「いらっしゃい」

「お邪魔します」

玄関で靴を脱ぎ揃えている時にふと気づく。玄関には先輩の靴らしきものしかない。

「あの……もしかして、今この家には先輩一人……ですか?」

「うん。夜まで誰も帰って来ないよ」

香月先輩はサラッとそう言って、私を部屋まで案内する。そっか、誰も居ないんだ。

先輩の事は信用してるし何かあるとは思わないけど、部屋に上がっちゃって良かったのかな。
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