いつか咲う恋になれ
「約束のケーキ、好きな方どうぞ」

テーブルの上にケーキが二つ置いてある。一つは真っ赤な苺が美味しそうなショートケーキ、もう一つはショコラのケーキかな。

どっちも美味しそうで悩む。悩んだ末にショコラケーキを選んだ。

「めっちゃケーキ選んでたね」

香月先輩は持ってきた紅茶をテーブルに置き、そのまま私の前に座る。

「どっちも美味しそうで迷っちゃいました。頂きます」

フォークを使いパクッと一口食べた。ん〜やっぱり美味しい、思わず私の顔から笑顔が溢れる。

「幸せそうな笑顔だね。そんな顔されたら、もう俺の胸貸さなくても大丈夫かな」

香月先輩はショートケーキを食べながら笑う。私は無防備な顔を見られて頬を赤くさせた。

「香月先輩には色々ご迷惑をおかけしまして……すみません」

そう言いながら私はふと思った。香月先輩がいなかったら、私は多分まだ笑顔がないままだったと思う。

ずっと元彼、友達の事を引きずりながらどんよりとした日々を過ごしていたはず。

でも香月先輩が話を聞いてくれたり、弓道教えてくれたり、苺ミルクの間接キスでドキドキさせたり……ずっと悩んでいる暇もなかった。

まさか香月先輩……全部計算しての行動だった、とか?

今日のケーキのお誘いだってそう……胸を貸すって言ってくれたけど、ケーキひとつでこんなに笑顔になっちゃうし。
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