いつか咲う恋になれ
「山下と別れたって本当!?しかも二股かけられたって……」

「えっと……二股はちょっと違いますけど、山下君とは別れました」

山下君と同じサッカー部だから、誰から別れたって事を聞いたのかな。それにしてもこの状況……どうしたらいいの?

小谷先輩に戸惑っていると、また廊下から勢いのある足音が聞こえてくる。

「ちょっコタ、落ち着けって」

息を切らしながら知らない男子生徒が生徒会室へ入ってきた。そして私と小谷先輩の間に割り込む。

あれ……この人何処かで見た事あるかも。

私の視線に気づいたのか男子生徒はニッコリと微笑んできた。

「紗倉ちゃんだよね。何度か見かけたけど話すのは初めてかな。サッカー部二年でコタの親友の朝比奈(あさひな) 斗真(とうま)です。よろしく」

そうか。サッカー部の練習が終わるのを待ってる時に見かけたんだ。

朝比奈先輩は部活中よく小谷先輩と一緒にいるし、明るい茶髪にモテ系の容姿で目立つから、自然と見ていたのかもしれない。

「それよりコタ、紗倉ちゃん困ってるだろ?それに……」

何かを言いかけて朝比奈先輩は私から小谷先輩を引き離すと、少し離れた所へ行き肩を組んでニヤっと笑う。

「それに、コタが紗倉ちゃんの事お気に入りって事がバレちゃうぞ?」

「ばっ……な、な、何言ってんだ斗真(おまえ)

二人は小声で話をしていて私には何を言っているか聞こえないけど、小谷先輩の顔が急に赤くなった。
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