いつか咲う恋になれ
「ごめんね紗倉ちゃん。びっくりしたでしょ?」

「いえ……」

と言いながも、私の笑顔は多分引きつっていると思う。

「皆さんもすみませんね〜。お騒がせしました」

朝比奈先輩は奥にいる他の生徒会メンバーを見ながらニッコリする。

「ったく、何事かと思ったよ。それより朝比奈、このサッカー部の部活祭の企画を考えたのお前だろ?」

宮原先輩はサッカー部の企画書をヒラヒラさせながら朝比奈先輩に見せる。

「さっすが敦士先輩。分かっちゃいました?だって色んな女の子と仲良くなりたいし。なかなか面白そうな企画でしょ」

「あぁ、面白いかは別として『レンタル彼氏』なんて思いつくのお前くらいだろ」

「ちゃんとサッカー部に良い場所を割り振って下さいよ。じゃあ俺はこれで」

みんなに手を振りながら朝比奈先輩は生徒会室から出て行った。まるで台風が去っていったみたい。

「紗倉ちゃん……ごめん」

小谷先輩が気不味そうな表情をしながら私に近づいてくる。

「いえ全然……別れた事サッカー部で聞いたんですか?」

「さっき廊下で山下と柴田に会って、最近紗倉ちゃんが全然サッカー部の練習見に来ないから喧嘩でもしたのかってからかったら、その……別れた経緯を聞いて……」

小谷先輩は頭をポリポリさせながら私から視線を逸らす。

「小谷先輩、心配してくれてありがとうございます。でも私は大丈夫ですから」

きっと私の様子を心配してくれたのだろう。そう思ってお礼を言いながらニコッと微笑んだ。
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