いつか咲う恋になれ
「紗倉さんが鈍くて良かったな」

宮原先輩と森野先輩は二人で小谷先輩の肩をポンっと軽く叩いた。

鈍いって何の事?と思いながら、チラッと香月先輩の方を見る。先輩は私と目が合うとニッコリ微笑んだ。

私は急に恥ずかしくなって香月先輩からパッと目を離す。

「何かやる気がなくなったな〜。今日はこれで終わりにしてまた明日やるか」

「うっ……すみません」

宮原先輩は小谷先輩をじぃっと見てニヤっとしながら嫌味っぽく言うと、小谷先輩はバツの悪そうな顔して謝った。

結局そのまま解散になったので、みんな自分達の部活へ向かう。私も優莉と茶道室へ行くと、今日は部活祭についての話があった。

「……というわけで自分の担当時間を確認しといてね」

部長が話し終わると、渡された紙を確認する。

茶道部はこの茶道室でお茶会をするみたい。まだ作法もままならない私は受付担当になった。

「優莉は作法担当かぁ。凄いね」

「まぁ茶道の経験あるからかな。あっ当日は浴衣着用だって。準備しなきゃね」

「浴衣、家にあったかな?」

本当は着物が良いんだろうけど、流石に着物を持っている人は少ないだろうからと浴衣着用になった。

帰ったら早速探してみよう。
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