いつか咲う恋になれ
「優莉はクラスとかで香月先輩の事を聞かれたりしない?」

私の机の向かい側に座る美園(みその) 優莉(ゆうり)に話しかける。

優莉は1年2組の進学クラスで私とはクラスは違うけど、同じ生徒会補佐係という事で仲良くなった。

「最初は色々聞かれたけど、知らないって言い続けてたらそのうち誰も声かけなくなったわ」

そう言いながらサラサラの黒髪を片耳にかける。クールビューティなイメージの優莉は、入学からまだ1カ月くらいしか経ってないが何人もの男子から告白されているモテ女子だ。

まぁ告白は全部断っているらしいけど。

そして私と優莉が生徒会の補佐係になるにあたって、香月先輩のファンから嫌がらせが無いようにと、生徒会メンバー同士の恋愛は禁止となった。

生徒会内というか香月先輩と恋愛するつもりはないから恋愛禁止はどうでもいいのだけど、モテ過ぎる先輩も大変だなと思いながら私はふと窓から外を眺めた。

「彼氏、サッカー部だったっけ?」

生徒会室の窓からは運動部が練習しているグラウンドが見える。その様子を見ている私の後ろから、香月先輩が話しかけてきた。

「……そうですけど」

彼氏というフレーズが恥ずかしくて、控えめな声で答える。

私にはサッカー部に彼氏がいる。中学の卒業式の日に告白されて付き合いが始まった。彼とは友達としての付き合いが長いから、正直彼氏と言われるのは照れくさい。
< 4 / 163 >

この作品をシェア

pagetop