いつか咲う恋になれ
「浮気ってそんな事…ただの世間話と……」

「世間話と?」

先輩、焦っている私を見て絶対楽しんでるな。表情からそう思った。

「……まだ私の事が好きだって言われました」

「へぇ、元彼君やるねぇ。それで穂花ちゃんは嬉しかった?」

「分かりません。ただ、恋愛したいって感情がなかったのでお断りしました」

まさか香月先輩の顔が頭に浮かんだなんて絶対言えない。

「じゃあ上書きしなくちゃね」

「上書き?」

何の事?キョトンとしていると、突然香月先輩が私を抱きしめてきた。私は顔が真っ赤になる。

上書きってもしかして、さっき山下君に抱きしめられたやつの上書きなの!?

それにしても胸のドキドキが激しくて爆発しそう。私、どうしたらいいの。

「香……ま、真尋先輩」

初めて先輩を名前で呼んだ。すると先輩は抱きしめている手を緩め、私を見る。

「このタイミングで名前呼び?ヤバイね」

そう言うと、先輩はそっと私にキスをした。頭が真っ白になっているけど、無意識に私は目を閉じていた。

唇が離れると、先輩は優しい表情をして私の頭をポンとする。恥ずかしいけど何だかくすぐったい気持ちだ。
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