いつか咲う恋になれ
「何?ここからサッカー部見えるの?山下のヤツ後でしごいてやろう」

私の彼氏、山下(やました)  竜樹(たつき)君と同じサッカー部の小谷先輩も私の近くにやってきて話に加わった。

生徒会では、大体いつもこんな感じでたわいもない話をして本題に入って終わったらそれぞれ部活に向かう。

ちなみに私は優莉に誘われて茶道部に入った。宮原先輩はバスケ部の主将で香月先輩は弓道部の副主将、小谷先輩はサッカー部で森野先輩は演劇部だ。

この日も生徒会の集まりが終わり、私は優莉と茶道部へ向かっていた。

「あっごめん、忘れ物しちゃった。優莉先に部室行ってて」

私は携帯がない事に気付き、急いで生徒会室へ戻る。

生徒会室へ入ると誰もいないと思っていたのに、机の上に座って外を眺めている香月先輩がいた。

私に気づくとニッコリと笑ってこっちを見た。そして香月先輩は手に持つ私の携帯を見せてくる。

携帯(これ)でしょ?」

「は、はい」

慌てて香月先輩から携帯を受け取った。

「香月先輩はまだ部活行かないんですか?」

「もう少ししたら行くよ」

そう言って机から降りると私の前に立った。私は目の前に立つ背の高い香月先輩を少し見上げる。

「紗倉さん、少し話しない?」

「話……ですか?」

部活は大丈夫ですか?と聞こうとしたけど、香月先輩の爽やかスマイルを見ると何も言えなくなり、私達は机を挟んで向き合うように椅子に座った。
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