いつか咲う恋になれ
「さっきこっちを見てごめんって言ってるようなポーズしてた。もしかして私達この公開告白に巻き込まれるかも」

「そう……じゃあこの公開告白を生徒会のパフォーマンスか何かに持っていくつもりなのかもね」

優莉はフゥッと軽く息を吐き出す。

「やっぱりそう思う?巻き込まれたらどうしたらいいのかな」

「その時は先輩方がフォローしてくれるでしょ」

まだ巻き込まれるって決まった訳じゃないけど、心の準備だけしておこう。

私と優莉が話しているのを見て真尋先輩が動き出した。ヒョイっとカッコよく壇上に上がり宮原先輩からマイクを奪う。

「おや?まさか真尋先輩が公開告白するんですか?」

マイクを奪った真尋先輩に朝比奈先輩が話しかける。

「真尋……マジか」

宮原先輩がそう言うと、真尋先輩は宮原先輩の肩に腕を乗せて、ニッコリ笑って朝比奈先輩の方を見た。

「うちの会長様が公開告白に失敗して、受験に影響でも出たらまずいんでね。俺がやろうかなと」

その瞬間、体育館中に嫌ぁと言う女子生徒の悲鳴といいぞ〜と面白がる男子生徒の声が響き渡った。

「何で失敗する前提なんだよ」

宮原先輩はふてくされた表情で真尋先輩を睨む。

「俺の公開告白の方が盛り上がるし、選手交代いいよね?」

「俺はどっちでも構いませんよ」

真尋先輩は宮原先輩から離れ、ゆっくりと私の方を見る。先輩と目が合っている間、まるで時が止まったかのような感覚になった。
< 55 / 163 >

この作品をシェア

pagetop