いつか咲う恋になれ
「紗倉」

突然名前を呼ばれてビクッとなる。山下君がはぐれた私を迎えに来てくれたみたいだ。

「ご、ごめん山下君。早速はぐれちゃった。すぐにみんなのところに行くから先に行ってて」

「分かった。この先に居るから」

山下君はまたみんなの元へ戻って行った。私はあははと焦り笑いをしながら手を振る。

そして感じる痛い視線……

そろっと後ろを見ると、真尋先輩がじぃっと私を見ている。

「友達って元彼君達だったんだ」

「えっあ……はい」

真尋先輩はトゲの刺さるような言い方をする。もしかして……怒ってるのかな。

「ダメ……でした?」

恐る恐る聞いてみる。

「全然ダメじゃないし、それに干渉しない約束でしょ?ただ……」

「ただ?」

「ちょっとしたヤキモチだよ」

嘘っと思い、思わず振り向いて真尋先輩の顔を見た。照れているのか先輩は私の肩を持ち、クルッと反対に方向を変える。

「もしかしてプールで遊んでからの花火大会って流れ?」

「は、はい」

私の後ろから耳元で囁くように話をする。これって先輩後輩の域を超えてません?

「それは残念。浮気しないようにね」

そう言われた後、真尋先輩は水の中で私の手を握り、先輩の小指と私の小指を結んだ。

「約束。じゃあね」

結んでいた小指が離れ、先輩は友達がいる方へ進んでいった。
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