いつか咲う恋になれ
まだ小指に先輩の小指の感触が残っている。

「真尋先輩こそ……浮気しないで下さいよ」

先輩はいないけど小指を見ながらそう呟いた。

その後みんなに合流してプールで遊び、一旦解散してまた夕方の花火大会のために集まる約束をした。

柳と安住ちゃんは少し早めに私の家に集まり、みんなで浴衣に着替える。

「紗倉、少し髪型変えようよ」

「え〜恥ずかしいからいいよ」

「いいからいいから」

二人は私の髪型をアレンジし始めた。コテで巻いたり編み込んだり結構手が込んでいる。

「完成。いいじゃん、可愛いよ」

鏡で見てみると、サイドテールに花の飾りをつけて可愛く仕上がっていた。

「ありがとう」

それから三人浴衣で待ち合わせ場所に向かった。

「お待たせ〜」

どう?と言わんばかりに三人でポーズを取った。男子の反応はというと……

「お前らの浴衣姿なんて毎年見てるし、腹減ったしさっさと行こうぜ」

柴っちは興味なさそうにしていて、山下君は特に何も言わない。安住ちゃんはプンスカしながら男子の後をついて行った。

安住ちゃんと柴っち、山下君は食べ物を買いに屋台に向かい、私と柳は花火大会の場所取りをする。

そういや柳と二人になるのは久しぶりだ。

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