いつか咲う恋になれ
体育祭の練習と準備に忙しくてなかなか真尋先輩と話が出来ない日々が続く。

電話してみようかなとも思ったけど、先輩も疲れている上に受験勉強もあるし、携帯を手にしてはため息をついていた。

真尋先輩の声……聞きたいなぁ。

体育祭当日、

「絶好の体育祭日和だな」

宮原先輩の一言で集まっていた生徒会メンバーは全員空を見上げた。

本当に良い天気だ。少し日差しが強いけど、雲ひとつない青空が清々しい。

「よっしゃ、チームは違えどみんな頑張るぞ」

さすが体育祭、みんな気合い入ってる。みんなそれぞれ自分のチームカラーの鉢巻を頭に巻く。

私と森野先輩は赤の鉢巻で真尋先輩と優莉は青の鉢巻、宮原先輩と小谷先輩は白の鉢巻だ。

「紗倉ちゃんは何の競技でるの?」

小谷先輩が興味津々に聞いてくる。

「私は100m走とクラス選抜リレーです」

「へぇ走る競技ばっかりなんだ。もしかして足速い?」

「どうですかね?一応中学は陸上部だったんで走るのは好きです」

私は小谷先輩と話をしながら、チラチラと別の方を見る。私の視線の先には女子に囲まれた真尋先輩がいた。

「香月先輩、後で鉢巻交換して下さ〜い」

女子達の甘い声が聞こえてくる。何でも毎年体育祭後、好きな人と鉢巻交換をするっていうイベントがあるらしい。

それを利用して告白する人も多いとか。

真尋先輩は困ったような笑顔で女子達に対応していた。この様子じゃ今日も真尋先輩に近づくのは無理そうだ。
< 93 / 163 >

この作品をシェア

pagetop