いつか咲う恋になれ
「香月君は!?」

「わ、分かりません」

凄い勢いで三年の先輩女子に声をかけられビクッとなった。でも本当に知らないし。

少しすると、今度は男子生徒に優莉の場所を聞かれる。知らないって答えるとまた必死に探し始めた。

「みんな必死だよな」

私が一息ついていると、宮原先輩が声をかけてきた。

「本当ですね」

「ところで……美園さんの居場所、本当に知らないの?」

ちょっと小声で私に聞いてくる。照れた表情の宮原先輩を見てクスッと笑ってしまった。

「優莉は茶道室に避難してますよ」

「そう、ありがとう」

居場所を聞くと宮原先輩は茶道室の方向へ走り出す。優莉と鉢巻交換するのかな……羨ましい。

その後、体育祭の片付けの為に荷物を生徒会室へ運ぶ。

「紗倉ちゃん、荷物持つよ」

「小谷先輩、ありがとうございます」

二人で話しながら生徒会室へ向かって歩いた。

「ふぅ、これで良し」

生徒会室に荷物を置くと小谷先輩は『休憩しよう』と机の上に座る。

「体育祭お疲れ様でした」

「盛り上がったよね。なんだかんだで楽しかったし」

しばらく体育祭の話をしていたけど、急に小谷先輩が真面目な顔して私を見てくる。

「あのさ……紗倉ちゃん、鉢巻交換しない?」

「えっ?」

聞き間違えかなとも思ったけど、小谷先輩は自分の鉢巻を私に渡そうと手を差し出した。
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