異世界猫。王子様から婚約破棄されましたが、実は聖女だったのでまったりもふもふ優しく騎士様に愛されます
 男性に変化したレティーナさまと稽古をする事によってあたしの感覚はどんどん開発されていった。

 魔法(マギア)には魔法陣の勉強が欠かせないって聞いてたのに、そんな魔法陣をすっ飛ばしちゃっていくつもの魔法を使えるようになったあたし。

 っていうか魔法陣ってあんなプログラムみたいなしろもの、覚えなきゃいけないんだったらとてもじゃないけどこんな短時間には無理だったかな?

 結局魔法陣ってギアへの命令文みたいなものらしいから、直接ギアと心を通わせちゃった方が早いって話なのかも。

 人に教えることはできないけどね?


「おいおいフェリス、ドラコはわたしの使い魔なんだからね? いい加減返してくれないか?」

「そんなこと言ったってドラコが俺に懐いてるんだからしょうがないだろう? レティは相変わらず細かいことをいうなあ」

「マリカの貸し出し、辞めたっていいんだぞ?」

「そんな! 流石にそれはないよ? しょうがないな。ドラコごめんな、怖いレティより俺の方が良いんだよな。でも返せ返せ煩いから悪いな」

 そう言ってフェリスさま、レティーナさまにドラコを渡す。

「クーン」

 って名残惜しそうにしてるドラコ。でもおとなしいなこの子。

「フェーリースー!」

 あうあうレティーナさまおこってるよ。


 っていうかこの二人、すごく仲が良いのね。

 まるでほんと昔からの友人みたいな会話。

 男女の、じゃない男の人同士みたいな気安さかなぁ?


 怒っているレティーナさまと両手を合わせて謝っているフェリスさま。なんだか微笑ましい。

 大人の男の人にこんなこと思うの、ちょっと悪いかもだけどね?

(茉莉花ちゃんはほんとおじさん趣味だからしょうがないよねー)

 あー。もう。マリアンヌったら!

(あはは)

 まあ、でも、不思議。

 フェリスさまはこのレティさまとレティーナさまが同一人物だって知ってるんだろうか?

「しかしさー。レティが帰って来てるなら今度の討伐に一緒に参加してくれると助かるんだがなぁ」

 あ、知らないんだやっぱり。

「ドラコも居てくれればかなりの戦力になるしな」

 そう、からっとした笑顔で言うフェリスさま。

 レティーナさまのお顔が一瞬曇り。

「悪いな。ちょっとレティーナに頼まれている事があってさ。私はここを動けないんだ」

「そうか。では仕方ない……」


 まあしょうがないよね。レティーナさまはここの護り石から離れられないし。ね。
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