異世界猫。王子様から婚約破棄されましたが、実は聖女だったのでまったりもふもふ優しく騎士様に愛されます
薔薇園の王子様。
流石に王宮の中で走るのは憚られるのであたしもいちおう廻廊をしずしず歩く。
そういえばお母様に連れられ最初にここを通った時だったっけ、マクシミリアンが詰め寄って来たのは。
なんだかあれからずいぶん経った気がするよ。
(そういえばわたくしがはじめてマクシミリアン王子に会ったのもこの廻廊の近くでしたっけ)
そうだったの?
(もう小さい時のうっすらとした記憶しかないですけど……。確かこの近くの薔薇園でしたかしら)
マリアンヌの記憶。綺麗なバラが咲き誇る庭園の記憶がふんわりと現れて。
そっかー。この近くにあるんだね。バラ園。いいなぁバラ、綺麗なんだろうなぁ。
(ではちょっと寄り道して行きますか?)
んー。時間はまだ大丈夫だよ、ね?
(ええ。今日は早めに出て来ましたしね)
じゃぁちょっとだけ寄り道しちゃうっか。
(ええ。わたくしも楽しみです)
薔薇園への別れ道に差し掛かったところでそちらに進むことにしたあたし。
ほんと少しくらい、いいよね。
薔薇園は温室になっていた。大きな透明な建物。
入り口の扉を開けて中に入るとやっぱりちょっと暖かい。
そして。
中に進むとそれはもう芳しい薔薇の香りが満ちていた。
ああ。幸せ。
色とりどりの薔薇が咲き誇る迷路のような垣根の中を進んでいくと、真っ白なアンティークなテーブルと椅子が並んだ中庭があった。
(ああ、ここですわ)
と、マリアンヌ。
あたしはその猫足がかわいいガーデンチェアに腰かけると、両手を上に上げて深呼吸。
ふふ。なんだか幸せな空間、だよね。
(ええ。ここは前王妃のお気に入りの場所だったと聞いていますわ。ほんとうに素敵な場所ですわね)
前王妃って言うと……。
(マクシミリアン王子のお母様になりますかね。今の王妃様にはアンジェリカ姫がいましたっけ)
マクシミリアンとアンジェリカはたしか一つしか歳が違わないはず。
まあね。前王妃亡くなって側室だった今の王妃が正式に王妃になるまでには数年おいたって話だったけど。
しょうがないよねそういうのも。王室ではよくあることかもね。
そんな会話の中で表面に現れてきたマリアンヌの子供の頃のうっすらとした記憶……。
お母様に連れられて訪れた王宮で。
逸れて迷子になった。
薔薇の垣根がなぜか怖くて泣いているあたし。
その時、声をかけてくれた王子様。
一緒に遊んで仲良くなって。
別れ際、
「君は、泣いている顔よりこうして笑っている顔の方が可愛いよ」
そう、優しく仰った王子様。
あれ?
あれって、マクシミリアン? なの?
(んー。わたくしにもその辺のことよくわからないんですけどねー。たぶんあの方がマクシミリアン様だったのじゃないかって)
なんだか印象が全然違うんですけど!
そういえばお母様に連れられ最初にここを通った時だったっけ、マクシミリアンが詰め寄って来たのは。
なんだかあれからずいぶん経った気がするよ。
(そういえばわたくしがはじめてマクシミリアン王子に会ったのもこの廻廊の近くでしたっけ)
そうだったの?
(もう小さい時のうっすらとした記憶しかないですけど……。確かこの近くの薔薇園でしたかしら)
マリアンヌの記憶。綺麗なバラが咲き誇る庭園の記憶がふんわりと現れて。
そっかー。この近くにあるんだね。バラ園。いいなぁバラ、綺麗なんだろうなぁ。
(ではちょっと寄り道して行きますか?)
んー。時間はまだ大丈夫だよ、ね?
(ええ。今日は早めに出て来ましたしね)
じゃぁちょっとだけ寄り道しちゃうっか。
(ええ。わたくしも楽しみです)
薔薇園への別れ道に差し掛かったところでそちらに進むことにしたあたし。
ほんと少しくらい、いいよね。
薔薇園は温室になっていた。大きな透明な建物。
入り口の扉を開けて中に入るとやっぱりちょっと暖かい。
そして。
中に進むとそれはもう芳しい薔薇の香りが満ちていた。
ああ。幸せ。
色とりどりの薔薇が咲き誇る迷路のような垣根の中を進んでいくと、真っ白なアンティークなテーブルと椅子が並んだ中庭があった。
(ああ、ここですわ)
と、マリアンヌ。
あたしはその猫足がかわいいガーデンチェアに腰かけると、両手を上に上げて深呼吸。
ふふ。なんだか幸せな空間、だよね。
(ええ。ここは前王妃のお気に入りの場所だったと聞いていますわ。ほんとうに素敵な場所ですわね)
前王妃って言うと……。
(マクシミリアン王子のお母様になりますかね。今の王妃様にはアンジェリカ姫がいましたっけ)
マクシミリアンとアンジェリカはたしか一つしか歳が違わないはず。
まあね。前王妃亡くなって側室だった今の王妃が正式に王妃になるまでには数年おいたって話だったけど。
しょうがないよねそういうのも。王室ではよくあることかもね。
そんな会話の中で表面に現れてきたマリアンヌの子供の頃のうっすらとした記憶……。
お母様に連れられて訪れた王宮で。
逸れて迷子になった。
薔薇の垣根がなぜか怖くて泣いているあたし。
その時、声をかけてくれた王子様。
一緒に遊んで仲良くなって。
別れ際、
「君は、泣いている顔よりこうして笑っている顔の方が可愛いよ」
そう、優しく仰った王子様。
あれ?
あれって、マクシミリアン? なの?
(んー。わたくしにもその辺のことよくわからないんですけどねー。たぶんあの方がマクシミリアン様だったのじゃないかって)
なんだか印象が全然違うんですけど!