異世界猫。王子様から婚約破棄されましたが、実は聖女だったのでまったりもふもふ優しく騎士様に愛されます
「あ、ごめんなさい。あたしもう行かなくちゃいけないからこれで失礼します」
ゆっくりしすぎたしレティーナさま待ってるし。そう思って慌てて立ち上がったあたし。
「そうですか。残念。こんなかわいい子と一緒に薔薇を愛でる事が出来るとおもったのにな」
と、そんな甘い言葉を囁くその彼。
あう。なんていうか声が透き通るようなに綺麗で、それでもって甘い。
顔立ちは、そう、どことなくマクシミリアンに似た雰囲気だけど、この彼の方が綺麗、かな。
年齢は……、多分同じくらい。おとなびて見えるけどね。
ほんと、目鼻立ちとかそういう部分的なものっていうよりも、全体に醸し出す雰囲気が華奢で。
王子様王子様してたマクシミリアンと比べてもなお繊細で綺麗だなんて、ほんと世の中広いよね。
そんな感想が顔に出てたのか、
「そんなに見つめられると照れるな。もしよかったら今度ゆっくりここでお話ししようね?」
そうにっこり甘いマスクで耳元で囁いてくれる彼に、あたしは真っ赤になって。
「ありがとうございます! では!」
って返事なのかなんなのかわかんないことを口走りながら飛び出していた。
もう恥ずかしい!
そう思わず駆け出していたあたし。
(茉莉花ちゃん! 走るのはダメだよ!)
ってマリアンヌに注意されて正気に戻った。
ああ、ごめんね。
(ああいう方が好みなの? 茉莉花ちゃん)
え?
(だって、心臓の鼓動が早くなって、顔も上気してるし。完全に恋する女の子って感じじゃない?)
はい?
そ、そんなんじゃないってば!
(そうかなー?)
もう! マリアンヌったら!
ほんと。たぶんあたし、びっくりしただけ。
あんな甘い声で。あんなに耳元で囁かれて。
ドキドキドキドキってしちゃったのは事実。
だけど。まだ恋? って、よくわからないや。
なんとかかんとか魔道士の塔にたどり着いた頃にはあたしのドキドキも治まった。
(それにしても……)
それにしても?
(さっきの彼、子供の頃に会った薔薇園の王子様に雰囲気そっくりでしたわ……)
あ。
そっか。
ほんとそうだ。
もしかしてマリアンヌが出会った薔薇園の王子様ってマクシミリアンじゃなくて彼だったんじゃない?
(んー。まあでもわたくし、ああいう軽い台詞をぽんぽんお話になる方はちょっと好みじゃありませんけどね?)
え? そうなの?
だってあの別れ際の、「君は、泣いている顔よりこうして笑っている顔の方が可愛いよ」って台詞。
あれってすごく印象に残ってない? マリアンヌの記憶に。
すっごく嬉しかったって感情も一緒に覚えてるけど?
(ああいうのは一度だけだから良いのですわ。そうそう軽々しく言われるとありがたみがないじゃないですか)
あは。そっか。そういうもの、かもね?
確かにさっきの彼、初対面のあたしにさえあんな感じなんだもの。
他の女の子にもああいう台詞を言い慣れてるかもしれないよね?
(そうです。そうに違いありませんわ。ですからわたくしだったらパスです。あの方は)
そっか。
そう考えるとちょっと残念な感じもするよね。
ゆっくりしすぎたしレティーナさま待ってるし。そう思って慌てて立ち上がったあたし。
「そうですか。残念。こんなかわいい子と一緒に薔薇を愛でる事が出来るとおもったのにな」
と、そんな甘い言葉を囁くその彼。
あう。なんていうか声が透き通るようなに綺麗で、それでもって甘い。
顔立ちは、そう、どことなくマクシミリアンに似た雰囲気だけど、この彼の方が綺麗、かな。
年齢は……、多分同じくらい。おとなびて見えるけどね。
ほんと、目鼻立ちとかそういう部分的なものっていうよりも、全体に醸し出す雰囲気が華奢で。
王子様王子様してたマクシミリアンと比べてもなお繊細で綺麗だなんて、ほんと世の中広いよね。
そんな感想が顔に出てたのか、
「そんなに見つめられると照れるな。もしよかったら今度ゆっくりここでお話ししようね?」
そうにっこり甘いマスクで耳元で囁いてくれる彼に、あたしは真っ赤になって。
「ありがとうございます! では!」
って返事なのかなんなのかわかんないことを口走りながら飛び出していた。
もう恥ずかしい!
そう思わず駆け出していたあたし。
(茉莉花ちゃん! 走るのはダメだよ!)
ってマリアンヌに注意されて正気に戻った。
ああ、ごめんね。
(ああいう方が好みなの? 茉莉花ちゃん)
え?
(だって、心臓の鼓動が早くなって、顔も上気してるし。完全に恋する女の子って感じじゃない?)
はい?
そ、そんなんじゃないってば!
(そうかなー?)
もう! マリアンヌったら!
ほんと。たぶんあたし、びっくりしただけ。
あんな甘い声で。あんなに耳元で囁かれて。
ドキドキドキドキってしちゃったのは事実。
だけど。まだ恋? って、よくわからないや。
なんとかかんとか魔道士の塔にたどり着いた頃にはあたしのドキドキも治まった。
(それにしても……)
それにしても?
(さっきの彼、子供の頃に会った薔薇園の王子様に雰囲気そっくりでしたわ……)
あ。
そっか。
ほんとそうだ。
もしかしてマリアンヌが出会った薔薇園の王子様ってマクシミリアンじゃなくて彼だったんじゃない?
(んー。まあでもわたくし、ああいう軽い台詞をぽんぽんお話になる方はちょっと好みじゃありませんけどね?)
え? そうなの?
だってあの別れ際の、「君は、泣いている顔よりこうして笑っている顔の方が可愛いよ」って台詞。
あれってすごく印象に残ってない? マリアンヌの記憶に。
すっごく嬉しかったって感情も一緒に覚えてるけど?
(ああいうのは一度だけだから良いのですわ。そうそう軽々しく言われるとありがたみがないじゃないですか)
あは。そっか。そういうもの、かもね?
確かにさっきの彼、初対面のあたしにさえあんな感じなんだもの。
他の女の子にもああいう台詞を言い慣れてるかもしれないよね?
(そうです。そうに違いありませんわ。ですからわたくしだったらパスです。あの方は)
そっか。
そう考えるとちょっと残念な感じもするよね。