異世界猫。王子様から婚約破棄されましたが、実は聖女だったのでまったりもふもふ優しく騎士様に愛されます
「遅くなりました!」

 って元気よく現れた彼女?

 あれれ……? この声……。

 金色のふわふわの髪を下ろして白と赤のフリルの入ったドレス。すらっと高い身長。

 顔立ちはマクシミリアンとよく似ていて、そんでもって彼より綺麗。

 鼻筋がすっきりと通って目元も綺麗なアーモンド型。

 まつ毛も多くって、薄らお化粧してる感じがほんと素で美人な感じがする、んだけ、ど。

 シャープなほお。女性的というより中世的なその魅力。

 って。どういうことなの?


「あれ? マリカ。どうしてマリカなの? 今日はマリアンヌさまだとばっかり思ってたよ。ああでも今日のマリカはいつもにましてかわいいね」

 そうニコって微笑み話すその声。そのセリフ。

 間違い、ない?

「なんでアーサーがここにいるのよ! おまけになんでドレス着てるの!?」

 思わずそう大声出しちゃってたあたし。

「まあアンジェリカ。いけませんよ?」

「はう、ごめんなさいおかあさま。ん! んっ! こほん! あー、あー。うん、いいかな。いらっしゃいませマリアンヌさま。アンジェリカ・ユーノ・オルレアンですわ。よろしくね」

 ってなにそれ! 声まで女性の声に変わっちゃった。っていうかどういう事? アーサーは女性で、おまけにアンジェリカ王女だったって事?

 もう嫌、しんじらんない!




「まあそれで。マリアンヌとご一緒だったの?」

「ええ、フランソワおばさま。わたくし、マリアンヌさまに命を助けられましたの」

「そう。危険なお仕事でしたのね」

「大変ですけど、やりがいはありますわ」

「マリアンヌは、お役にたてたのかしら?」

「もちろんですわ。マリアンヌさまのおかげです。あの魔獣を討伐できたのは」

「まあまあ。すごいのね? マリアンヌ」

「ええ。はい。ごめんなさいお母様。わたくし……」

「何にしてもマリアンヌ様がこの国随一の聖女になるのも遠い先の話ではないような気がしますわね」

 あうあう。ジュディ王妃まで……。

 優しそうに受け答えしてはいるけどお母様の視線が怖い。

 ああ、ほんとごめんなさいだ。心配かけたく無かっただけなのに。ダメ。

 ほんとごめんなさいお母様……。



 あう、でも、お母様アンジェリカが魔獣討伐してた事はそんなに驚いて無いよね?

 どうして? まさか、知ってたの?
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