異世界猫。王子様から婚約破棄されましたが、実は聖女だったのでまったりもふもふ優しく騎士様に愛されます
 お母様に今回の事を説明するのに、あたしはちょっと悩んじゃって。

 前の白騎士団の魔の森への魔獣討伐に随行したときは内緒で行ったけど、ばれた時のお母様の怒りは静かだったけど怖かった。

 っていうかたぶん悲しませた。

 もうあんな気持ちにさせるのだけは、避けたいなって。

 でも。あからさまに危険な所に行くんだよって言うのも憚られる。あたしがそんな危険な事をするっていう事の理由をお母様にうまく説明出来ない。少なくともお母様に納得してもらえるよう説明することなんて、無理。

 冷静に自分で考えてみても、あたしはちょっとチカラが使えるようになったからって自惚れてる状態、だ。
 ほんとうに危険な目になんかあったことも無いくせに、漠然と大丈夫だって思ってる、そんな。

 このあいだのスネークドラゴンなんて魔獣としては強かったかもしれないけど、ドラコのような真竜と比べれば大人と子供よりも力の差があるって感じてた。

 だからかな、怖いって気がしなかったんだと思う。

 でももしドラコのような真竜が敵意をもって襲ってくるようなそんなシチュエーションが起こったとき、果たしてあたしが無事でいられるかというと、ちょっとわからない。

 彼らの強さは次元が違う。ほんと、文字通り次元が違う所に存在するのだ。

 たぶん普通の物理攻撃なんか意味をもたないくらいの差。

 そんな存在は真竜だけじゃない。伝説の七色竜オーバーザレインボウ。黒竜ブラド。紅竜クリムゾン。ほかにも様々な厄災竜がこの世界には存在し、というか古くから書物によってその存在が示唆されている。

 そういう厄災級のモンスターがもし襲ってきたら?



 わからないよね。



 まあ流石に今回の旅がそこまで危険になるとも思ってるわけじゃないの。

 そもそも戦いに行くわけじゃないし、魔の森も今は魔獣も随分減ってるはず。

 あたし達の目的はあくまで遺跡だからね。

 だから。



 悩んだ末にお母様には今回のことはアリアと一緒に遺跡を巡る旅、旅行に行くって説明した。

 アリアがもと世界に帰るための方法を探るために各地の遺跡を巡るのだと。

 そんな中で魔の森のケンタウリ遺跡も行く必要があって。

 でも、白騎士団の騎士様が護衛についてくれるし、おまけに前回の討伐で魔獣は減っているはずだからそこまで危険じゃなさそうだから、って。

 そう話して納得してもらった。

 レティーナ様にも許可もらったんだよって話して、なるべく安心してもらおうと。

 そんな感じに話したのだ。


 お母様はそれでもまだ心配そうだったけれど、あたしの決意が固いのをみて笑顔で送り出してくれた。

 ほんとごめんね。お母様。

 ちゃんと無事に戻ってくるからね。



 ☆☆☆


 馬車での旅。

 前回乗った軍用馬車を貸してくれたフェリス様。そこにあたしとアリア、クラウディアとコルネリアが座り。

 そしてもう一人。

 あたしのちょうど目の前にはアーサーが座ってる。




 って、どうしてアーサーが来てるのよ!

 アーサーから離れて心落ち着けようと思ったのに!

 おかげで茉莉花、また奥に潜っちゃったじゃないの!
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