異世界猫。王子様から婚約破棄されましたが、実は聖女だったのでまったりもふもふ優しく騎士様に愛されます
外の風の音が怖くってお部屋でお布団に潜って丸まってたあたし。
夜になってますます強くなった風は轟々ともう台風本番の様子で吹き荒れている。
そんな音が怖かったあたしは夕食も早々にお布団に逃げ込んでいたのだった。
なんだかテレビの台風情報を見ながら怖くてお布団被ってた子供の頃を思い出す。今でもそう変わらないのかも、ね。
玄関の方でガタガタって音がしたと思ったら、バタバタと大勢の足音が廊下に響く。
何かな? お父様がそろそろ帰ってくる頃合いだけど……。
そう思って廊下を覗いてみるとそこにはずぶ濡れのお父様が居て家人に大声で指示を飛ばしていた。
ガヤガヤとしてて危険、とか、避難、とか、そういう言葉だけしかよくわからなかったけど皆バタバタと集まりそして慌てて散っていった。
「まああなた、このままでは風邪をひいてしまいますわ」
そう大きなタオルをお父様に手渡すお母様。あたしもそっと近づいて。
「何か、あったのですか?」
と、お父様に声をかけた。
「フランソワ、マリアンヌ、二人ともよく聞くんだよ。嵐の様子を観測していた魔道士がその中心に竜が存在する事を確認した。それもどうやら伝説の魔竜、紅竜クリムゾンに違いないという。最悪な厄災竜だ」
お父様はそこまで一気に喋ってからタオルでお顔を拭いて。
「奴はどうやらまっすぐにこの王都に向かっている。このままではどれだけ被害が出るか検討がつかない。街の人々にもなるべく頑丈な建物に避難するよう触れを出した。お前達は王宮に行きなさい。此処よりもきっと安全だ」
「お父様は? どうされるのですか? 一緒に王宮へ?」
「ああマリアンヌ。かわいい娘よ。私は国軍の指揮を執るマクシミリアン様の補佐を仰せつかった。王都の手前で奴を食い止めて見せるよ」
「危ないわ、あなたが出なくてはいけないの!?」
「ああ。フランソワ。これも貴族筆頭の私達に課せられた義務だよ。こういう時に力を示さないで何が貴族か! 何が公爵か! 当然騎士団にも招集はかけているが、我々貴族には民を守る義務があるのだ」
「そうでしたわね……、ご武運をお祈り致します。わたくし達は魔道士の塔へと参りますね。こういう時こそわたくし達も力を合わせてこの王都を護らなければいけませんもの。ね」
「ああ。マリアンヌを頼むよ。フランソワ」
そう言うとお父様はまた慌ただしく屋敷を出て行った。
玄関の扉が開くと轟々とした音が大きく聴こえて。あたしの中のみーこの部分がビクビク怖がってしまう、けれど。
ああ、どうしよう?
あたしは……。
心の奥底。どこかの時代の前世の記憶があたしの中にどうやらある。
紅竜クリムゾン。レッドクリムゾン。
その魔竜の映像がフラッシュバックする。
そして、わかる。理解できるのだ。
あれ、は、普通の人では太刀打ち出来ない。
アウラクリムゾンを核に持つ、あれ、は、存在する次元が違うのだ。
お父様やマクシミリアン。そしてフェリス様やアーサー。
彼らが傷つく未来が視える。
そんな不安、焦燥感に心が押し潰されそうになる。
嫌だ! そんなのは嫌!
夜になってますます強くなった風は轟々ともう台風本番の様子で吹き荒れている。
そんな音が怖かったあたしは夕食も早々にお布団に逃げ込んでいたのだった。
なんだかテレビの台風情報を見ながら怖くてお布団被ってた子供の頃を思い出す。今でもそう変わらないのかも、ね。
玄関の方でガタガタって音がしたと思ったら、バタバタと大勢の足音が廊下に響く。
何かな? お父様がそろそろ帰ってくる頃合いだけど……。
そう思って廊下を覗いてみるとそこにはずぶ濡れのお父様が居て家人に大声で指示を飛ばしていた。
ガヤガヤとしてて危険、とか、避難、とか、そういう言葉だけしかよくわからなかったけど皆バタバタと集まりそして慌てて散っていった。
「まああなた、このままでは風邪をひいてしまいますわ」
そう大きなタオルをお父様に手渡すお母様。あたしもそっと近づいて。
「何か、あったのですか?」
と、お父様に声をかけた。
「フランソワ、マリアンヌ、二人ともよく聞くんだよ。嵐の様子を観測していた魔道士がその中心に竜が存在する事を確認した。それもどうやら伝説の魔竜、紅竜クリムゾンに違いないという。最悪な厄災竜だ」
お父様はそこまで一気に喋ってからタオルでお顔を拭いて。
「奴はどうやらまっすぐにこの王都に向かっている。このままではどれだけ被害が出るか検討がつかない。街の人々にもなるべく頑丈な建物に避難するよう触れを出した。お前達は王宮に行きなさい。此処よりもきっと安全だ」
「お父様は? どうされるのですか? 一緒に王宮へ?」
「ああマリアンヌ。かわいい娘よ。私は国軍の指揮を執るマクシミリアン様の補佐を仰せつかった。王都の手前で奴を食い止めて見せるよ」
「危ないわ、あなたが出なくてはいけないの!?」
「ああ。フランソワ。これも貴族筆頭の私達に課せられた義務だよ。こういう時に力を示さないで何が貴族か! 何が公爵か! 当然騎士団にも招集はかけているが、我々貴族には民を守る義務があるのだ」
「そうでしたわね……、ご武運をお祈り致します。わたくし達は魔道士の塔へと参りますね。こういう時こそわたくし達も力を合わせてこの王都を護らなければいけませんもの。ね」
「ああ。マリアンヌを頼むよ。フランソワ」
そう言うとお父様はまた慌ただしく屋敷を出て行った。
玄関の扉が開くと轟々とした音が大きく聴こえて。あたしの中のみーこの部分がビクビク怖がってしまう、けれど。
ああ、どうしよう?
あたしは……。
心の奥底。どこかの時代の前世の記憶があたしの中にどうやらある。
紅竜クリムゾン。レッドクリムゾン。
その魔竜の映像がフラッシュバックする。
そして、わかる。理解できるのだ。
あれ、は、普通の人では太刀打ち出来ない。
アウラクリムゾンを核に持つ、あれ、は、存在する次元が違うのだ。
お父様やマクシミリアン。そしてフェリス様やアーサー。
彼らが傷つく未来が視える。
そんな不安、焦燥感に心が押し潰されそうになる。
嫌だ! そんなのは嫌!