一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 不審げなスタッフを尻目に、ネイトは私の腰を強く掴んだまま、レストランに出ていく。

 エレベーターに乗ると、ネイトが防犯カメラを見つめた。それから私を壁に囲い込む。

「なぜ、僕を待っていなかった?」
 ネイトの声が熱を孕む。

「置いていかれたんだと思ったんだもの」
 対する私の声ったら、弱々しくて媚びを含んでいる。

「どうしてメモを読まなかった?」
「読みたくなかったから」
「答えとしては不十分だ」 

 どうしても言わせたいのね。
 私はヤケになって叫んだ。

「あのメモには、貴方の言い訳が書いてあると思ったのっ。出ていったのは、愛し合った部屋に一人で居たくなかったからに決まってるでしょ!」

 途端、食べられるんじゃないかと思うキスが降ってきた。
 耳に二人の舌が絡まりあう音が聞こえる。
 貪りあって私の腰が抜けたころ、ようやくネイトが唇を離してくれた。

「玲奈、互いの認識のすり合わせはあとだ」

 エレベーターが開くなり、私は彼に横抱きにされた。
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