一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 私が読み終わると、ネイトは消去する。
 送受信履歴、ましてや紙にも残せないんだ。
 動揺してしまい、彼を見上げたらネイトの瞳も揺れていた。
 
『Ich, mein Vater und meine Schwester akzeptieren alle das Schicksal, Crawford zu sein.
(僕も父も姉も、クロフォードであることの運命を受け入れている)

Aber über meine Mutter und dich
(が、母や君のことは)』

 苦しそうだった。
 彼の胸に顔を寄せれば動悸が激しい。

『Ich habe Angst, dass mein geliebter Mensch in Gefahr ist
(愛する人を危険な目に遭わすかと怖い)』

 私は震えているだけで、なにも言ってあげられなかった。
 やがて、ネイトは息を吐き出した。
 気持ちを切り替えたみたい。
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