一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
「今日はもうダメっ、これ以上は無理!」

 私が慌てて拒否すると、ネイトは渋々諦めてくれた。

「……わかった。今はね(・・・)
 
 ん?
 まあいいか。あとで考えよう。

「そうだ、ネイト。お兄様の恋人って」

 あ。
 これもか。
 慌てて口を噤んだら、ネイトがうなずく。
 
『Ah. Hannah Ellis Crawford. Meine Schwester
(ああ。ハンナ・エリス・クロフォード。僕の姉だ)』

 彼女の症状についても、携帯の画面で教えてくれた。

「私も協力したい」
「ありがとう」
 
 微笑んで私の額にキスしてからネイトは。

『Ich war gezwungen, eine Delegation zu schreiben, aber ich hatte vor, sie zurückzugeben.
(穣に委譲書を押し付けられはしたが、いずれ返すつもりでいた)』

 それだけ、私に裏切られた怒りが大きかったのだ。

「ごめんなさい」

 どう考えても、私が悪い。
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